談山能について
「談山能(たんざんのう)」とは、奈良県桜井市にある多武峰(とうのみね)の談山神社にて能楽を奉納する歴史的な演能企画です。
談山神社(旧・妙楽寺)は、能楽四座の内、能楽を大成した観阿弥・世阿弥の本拠地として大切にされていましたが廃仏毀釈以降の能楽上演は疎遠になっていました。平成元年以降石原昌一氏をはじめとする地元の方々の尽力により談山能が開催され、鼓の産地であった事を顕彰する「鼓魂(こだま)の会」(注1)の開催など新たな神社と能楽の関係が築かれて来ました。
平成23年5月16日に長年修復を待ち望まれていた常行堂(注2) の修理完成に伴い観世宗家の「翁」の奉納が実現したのです。
これには平成20年5月、談山神社長岡宮司のご案内で梅原猛 先生が当時修復中の常行堂に保管されていた「翁」面(摩陀羅神面の箱書きあり)と対面されたことが遠因としてあり、この翁面を26世観世宗家観世清和氏によって甦らせることでもありました。
平成24年、談山神社本殿が改修落慶され、常行堂が演能の場として開放されることになり観世流の総力を挙げた奉納公演として5カ年計画が立てられ執行されました。近年の研究では、会場となります常行堂の脇を濫觴とする寺川流域には歴史的な遺産とともに能楽の大和四座が存在するなど新たな歴史遺産としての価値が高まりつつあります。
平成29年度より、これまでの奉納を軸に引き続き能楽の聖地を顕彰する公演としての意味を含めて従来の実行委員会を解散し、「談山能伝承会」主催としての新たな6カ年計画がスタートします。
皆様のご協力とご支援を何卒よろしくお願い申し上げます。
談山能伝承会
*注1)400年前の鼓胴作者、女倉折居(めくらおりい)の小鼓胴が第一回談山能奉納の際に大倉源次郎によって発見され、平成9年以来この胴の響きを多武峰で聞き、「鼓の里」下居村を啓蒙する催しのこと。この度の奉納もこの鼓胴で演奏される予定です。
*注2)天禄元年 (970)に藤原伊尹の立願により妙楽寺として創建されたとされ摩陀羅神を祀り、明治の神仏分離以降は「権殿」と称されています。 なお、現在の談山神社に伝わる翁面三面の内、特別に面箱を誂える桃山時代の面の箱書には「摩陀羅神面箱」と墨書されています。
談山能伝承会 名簿
名誉会長 梅原猛
委 員 観世清和 梅若玄祥 観世銕之丞
大槻文藏(幹事) 片山九郎右衛門 観世喜正
天野文雄 松岡心平 宮本圭造 長岡千尋 石原昌一
制作協力 西尾智子 佐野純子 濱崎加奈子 延原真紀子 原瑠璃彦
総 務 大倉源次郎